1年生のSIです。5月号ではTepperでのMBA生活を通じて私が感じたCarnegie Mellon University(CMU)に存在する豊富なリソース・非連続な成長機会について記します。
DX時代においては、アントレプレナーシップや多様な人材とのコラボレーション等が不可欠になっています。CMUは、従来よりコンピューターサイエンス、エンジニアリング、デザインアート等の領域に強いこともあり、DX時代に必要な学びを提供してくれる環境を有しています。また、Tepperに併設されているSwarts CenterはPittsburghエリアにおけるイノベーション創出のハブになっており、数多くのStartup、VCとのネットワーキングも可能です。こうした点について私自身の具体的な経験を交えて紹介したいと思います。
デザインスクールとのコラボレーション
CMUでは各Schoolを超えたコラボレーションの機会が豊富にあります。
例えば、私がBoardを務めるDesign & Business Clubでは、School of Artの教授をゲストに招き、プロダクトデザインやデザインシンキングに関心があるTepper MBAの学生に対してデザインシンキングワークショップを開催しました。“将来の駐車場の姿とは?”をテーマに、学生がチームになって駐車場のユーザー体験を洗い出し、あるべきユーザー体験をデザインしプレゼンしました。
また、Design Thinkingを題材にしたケースコンペティションKellogg Design Challenge (Northwestern主催)においては、School of ArtやHuman-Computer Interaction Instituteの学生と一緒にチームを組み、ケースの題材に対してプロダクト・サービスデザインも含めたOutputを作る経験もできました。私のチームは残念ながら予選落ちでしたが、上位3チーム中2チームにCMUのチームが入賞しCMUのコラボレーション力が示される結果となりました。
現地VCでのインターンシップ
現地のVCやStartupにアクセスする機会も豊富にあります。
例えば、私自身、スタートアップの資金調達やデューデリジェンスプロセスに関心があったため、VCでのインターンシップを模索したところ、Tepperアントレプレナーシップクラブの先輩よりPittsburghローカルのVCでの機会を紹介頂きました。
22年1月以降、私が携わっているのは、シリーズAのスタートアップ投資のデューデリジェンスです。Tepper出身のパートナーがメンターとなり、CMUの学生ならびにAlumniボランティアでチームを組んで、Swarts Centerに集まり定例ミーティングを開催しながらデューデリジェンスを進めています。留学前のコンサルティング会社時代にPE向けデューデリジェンスアドバイザリーの経験はありましたが、スタートアップの場合はマーケットや財務に関するファクトが限られるため、マーケットの将来ポテンシャルに加えて、ファウンダー自身の素質・経験や営業パイプラインの創出能力等、組織能力がより重要な判断材料となるといった点を実業務を通じて学ぶことができました。
今夏もPittsburghローカルのアクセラレーターおよび製造業のスタートアップでインターンシップを行う予定です。
NFTコレクションの起業?体験
学生の間にアントレプレナーシップを経験することも可能です。
TepperのPart-Time MBAの学生よりNFT(非代替性トークン)のアートコレクションのアジア市場向けマーケターを探しているというお誘いを頂き、22年1月~3月までNFTアートの立ち上げ・マーケティング活動に取り組みました。メンバーの多くはVirginia Techのコミュニティ出身者で結果的にCMUを超えたコラボレーションを体験することができました。
メンバー全員が自己資金を拠出してパートナーシップメンバーとなり(私も拠出)、アートコンテンツ制作、Webサイト構築、SNSマーケティング、インフルエンサー・広告媒体との折衝等、一連の活動に取り組みました。活動のなかでは苦い経験もしました。
私が担当していた日本市場向けマーケティングのなかで、日本国内のWeb媒体への広告出稿の際に、海外の新興コレクションのため与信が通らないと先方から却下される経験をしました。今まで信用力のある既存企業という後ろ盾があって自身がビジネスをしていたという事実や、スタートアップ特有の信用力創造の大変さを身に染みて感じました。NFTマーケットが未だバブルの様相を呈していた当時、全コレクション売り切れば億万長者という夢をもって取り組みましたが、結果は想定を大幅に下回る数しか売れず現実はそう甘くはありませんでした。
苦い経験ができたからこそ学びも大きかったですし、多様な可能性を秘めるWeb3.0の領域に自ら足を突っ込めたという経験は大きいと感じています。
このように、Tepperには従来のビジネススクールの枠を超えた豊富なリソース・コラボレーション機会が存在します。背景には、Tepper自身が1学年230人前後と米国のスクールのなかでは少人数のため自ら手を挙げ模索すれば機会を得やすいという特徴や、授業は望めば他School生であっても受講可能であるというCMUの各Schoolのプログラム運営、Swarts CenterやTepperのアントレプレナーシップクラブ等イノベーション創出に取り組む豊富な機関の存在、などがあると思います。
School選びをする際に、各MBA Schoolのカリキュラムや特徴、ランキングを理解することも大切ですが、MBAの枠を超えてどのようなリソースが活用できるかやネットワーキングができそうかを考えてみるのも、非連続な成長を模索するうえで良いと思います。CMUには望めば多くの経験ができる環境があるので、ぜひTepperに関心をもって頂ければ幸いです。
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