≪初めに≫
以下に、私の簡単なプロファイルを記載します。あてはまる部分が多い方は、参考になる部分がこの軌跡にあるかと思います。
出身学部:経済学部(GPA:3.7)。ただし、国公立大に理系で入学後、進学振り分けで経済学部に進学
職歴:入社以来、一貫してエクイティ・リサーチ部にて株式調査(鉄鋼・非鉄・電線)。留学準備期間中には多様なセクターのIPOも担当。
スコア:GMAT740(V38, Q51)、TOEFL101点(R28,L26,S19,W28)
海外経験:ほぼゼロ
全体として思ったことは、過去の例や他人の経験はあてにならないので、自分で考えることが非常に大事ということです。例えば、ネガティブな例では、(1)TOEFLのSpeakingで皆が通う塾で失敗した点が挙げられます。ポジティブな例では、(1)GMATで非ネイティブには難しいといわれるところを得点源にした、(2)他の日本人がしないようなしつこいアピールをして面接の機会を得た、ことなどがあります。
≪スケジュール≫
受験プロセスに関しては、概ねTOEFLと並行して、学校選択→TOEFL集中→GMAT→レジュメ→エッセイ→面接練習という順序で進めていきました。ただ、そもそもの下準備として、留学候補生に選ばれたら真っ先に、自分の家族や上司、マネジメントとしっかり相談して、自分が留学準備のために一定程度の時間を割ける環境を確保できるようにすべきです。
学校選択は、留学候補生に選ばれた2-3月から4-5月まで社内の留学経験者の方と積極的に会って、話を聞きました。
TOEFLは、留学候補生に選ばれた2-3月ころから本格的に始め、2nd Roundに間に合う12月まで受け続けました。これが私の受験プロセスで最も後悔しているところで、もっと早期に本腰を挙げ、長期間取り組むべきでした。
GMATは、5月にAGOSのビデオ講座を受講し、概要を把握したうえで、8月から本格的に勉強し、12月上旬まで取り組みました。GMATは、ある程度短期間でやった方が良いと思ったので、業務の繁忙期となるべく重ならない時期を選んで勉強しました。AWAはほとんど何もしていませんが、折角なので見栄えを良くするためにAWAも勉強した方が良かったかもしれません。
レジュメは9月くらいに作成し、エッセイは10-12月に作成しました。カウンセラー(John)のレスが速く、サポートも手厚かったので意外と早くできました。早くできたので、他のカウンセラーにダブルチェックしてもらうと良かったかもしれません。
面接練習は、エッセイを出し終わった1月中旬以降に実施しました。実践のようにコンテキストを把握していない人と話し、また多くのタイプの面接を経験したかったので、できるだけ多くのカウンセラーと練習するように心がけました。他の受験生と比べて、やや変わっているのは、学校選択を早めに行ったことかもしれません。しかし、後述するTOEFL/IELTS、GMAT/GREなどに関して、どちらか一方のスコアしか認めないという学校も存在しますので、今後の勉強のスケジュール/内容などの手段を考えるためにも、まず目的(行きたい学校)をクリアにすべきだと考えます。
≪学校選択≫
学校選択に関しては、まず「なんのために留学するのか?」という目的をクリアにすると良いです。あとは、その目的に沿った基準(ランキング、カリキュラムの内容、立地、学校の規模、校風など)を設定し、それに即した学校を探すと良いです。
≪TOEFL≫
TOEFLに関しては、多くの学校で100点が公式な足切り(問答無用でカット)となっており、105点前後がトップスクールの実質的な足切りとなっているイメージです。トップスクールで自身を持って出すには110点前後は欲しいところです。私の場合は最後まで大したスコアを獲れなかったので、他の方の軌跡を読んだ方が良いかもしれません。
はじめ、解法などを学ぶ段階ではWeb TOEFLのお世話になりました。私の場合、業務の都合上、塾に通学したりする時間はとれなかったので、自分の好きな時間に勉強できる点で重宝しました。
特にTOEFLの場合は解説が読めなくても困らないことが多いので、基礎的な事項を学んだ後の実践としてはKaomanfen(中国の過去問サイト)を愛用していました。中国語のサイトですが、中国語を全く勉強したことのない私でも使用できるくらいに使い勝手も良いです。
Reading
使用教材:TOEFLテスト英単語3800、Kaomanfen
Readingに関しては、頻出分野の文章に対応できるように、何でもよいので単語帳を1個頑張り、出題されうる分野の単語を一通りマスターすればよいと思います。私は学業や仕事で英語の論文やレポートを読む機会が多かったせいか、読むスピードが速い方だったので得点源にできましたが、問題文はGMATと異なり、論理構成が整っていない文章が多いので、一応全部読むようにしていました。
Listening
使用教材:Web TOEFLのListening講座、Kaomanfen
私にとって一番の鬼門でした。最後までなかなか得点が安定しませんでした。理系的な得意分野がテーマだとほぼ完ぺきに理解できるのですが、人文学的なテーマだとさっぱり理解できませんでした。英語教師の妻によると、「ListeningとSpeakingの発音は(私のように)耳が悪い人は結局、何をしても大きな改善は見込めない。とにかく集中して聞く時間を継続して増やすしかない」とのことだったので、最低でも毎朝2時間はOGやKaomanfenのサイトでリスニングをしました。Listeningの勉強方法はWeb TOEFLで習った内容をそのまま実行しました。いかんせん私の場合は業務との両立やそもそものレベルの低さから時間制約がキツかったのであまりやりませんでしたが、ディクテーションもやっている方が多く、有効かもしれません。
Speaking
使用塾:E4TG
Listeningと並ぶ、私にとっての難関でした。E4TGという塾は評判もよく、多くの人が通っているので、私も利用しましたが、開いている時間に発音の矯正をしてもらった以外は、結局、あまり効果はありませんでした。結局、私の場合は、戦略も暗記もなく、単に好き勝手喋ったときの方が点数が出ていました。非ネイティブが高得点を獲るのは実質無理なので、22-23点が取れるようになったらそれ以上は努力しないでよいと思います。
※E4TGの講師のDonaldは、MBA受験の講師などについて一通りの人脈、知識があるので、休憩時間に質問しまくって、情報を収集すると良いと思います。
Writing
使用塾: Web TOEFL、E4TGでついてくる添削講座
WritingはSpeaking同様、主観で点数が左右されるテストなので、他者による添削を受けた方が良いと思います。私の最大の問題はタイピングの遅さで、なかなか点数を高めることが出来ませんでした。私の場合は、テンプレートを覚えてもそのテンプレートを打つのに時間を取られ過ぎ、肝心の本文をなかなか書けなかったので、Speaking同様に、最低限の構成だけ覚え、好き勝手な内容で書くようにしました。その代り、難しい単語や構文を多用するようにすればそれなりの点数を獲れるようになりました。
その他(受験場所)
受験場所としては、御茶ノ水が静かで集中できるということで、人気がありました。PCがラップトップかデスクトップか、耳栓の貸し出し/持ち込みの可否、座席のスペース、衝立の質、など会場によって、結構、雰囲気も異なるので、いくつか試して自分の好きな会場を見つけると良いと思います。
代替案:IELTS
昔はマイナーでしたが、最近、受験者が増えている英語の試験にIELTSがあります。(1)日本人の苦手なListeningが簡単、(2)Speakingが人との対面形式、(3)日本人に馴染み深い紙ベースの試験、ということもあって、日本人にはTOEFLよりもスコアが出しやすいと言われています。米国の一部の学校中心に、IELTSは受け付けない学校もありますが、欧州などのIELTSも受け入れている学校では、IELTSを受けるというのも有効な選択肢です。
≪GMAT≫
GMATに関しては、それなりに満足のいく結果が出ました。TOEFLとは異なり、業務の都合でまとまった時間を確保できなくても、隙間時間を活用し、勉強できる点が助かりました。
Math (Quant)
使用教材:マスアカ(新GMAT®数学教材セット)
大学に理系で入学し、大学自体も数学的な分野を中心に学んでいたので、あまり苦労しませんでした。とは言え、最初の方は引っかけ問題に引っかかりまくり、なかなか満点をとれず50点を繰り返していました。上記教材の引っかけ問題集でそれを克服してからは、安定して満点をとれるようになりました。
Verbal(全体感)
使用塾:AGOS、Affinity、Official Guide
総論:Verbalに関しては、SC(分法)、CR(短文の論理構成)、RC(長文)という3つの分野の問題が出るので、自分の強み/弱みを理解したうえで、それぞれどう取り組むかの戦略立案が重要です。戦略立案に関しては、AGOSの中山先生の個人レッスンを受けるとアドバイスを貰えます。私の場合はRCで時間が稼げたので、全問を普通に解くようにしていました。
SC:よく「純ドメの日本人が得意にする」と言われますが、私は適当な性格が災いしてか、そこまで得意でありませんでした。ただし、AGOSの中山先生のネット講座を受講すれば、一通り基礎事項をマスターできるので、そこまで大きく苦労するパートでもありませんでした。このパートに関しては、大学受験のように同じ問題を繰り返し復習し、精度を高めていくことが重要だと思います。
CR:よく「理系が得意にする」と言われますが、私は当初、一番、苦手にしていました。というのも、どの回答も論理的厳密性を欠き、正解がない、ように見えてしまうからです。この点では、Affinityの講座が役立ちました。講義を通じて、「どれが絶対的な正解か」ではなく「どれが相対的にマシか」という目線になってからは随分とラクになりました。
RC:よく「純ドメの日本人が苦手にする」と言われますが、私の場合は、おそらく読むスピードが速いからですが、一番の得点源にしました。当初はなじみのある分野は高速かつ正確にとける一方で、なじみのない分野だとさっぱり分からない状況でした。フェミニズムやマイノリティなど、GMATで頻出にも関わらず、私が苦手な分野に関する講座をAffinityで受講したところ、背景知識なども踏まえた詳細な解説が得られました。あとはTOEFLでも使ったKaomanfenを使って、苦手な分野の文章を多読したところ、9割以上の得点率をキープできるようになりました。
IR:
本当に全く勉強していないですが、8点満点中7~8点しかとったことがないので、MathとVerbalさえちゃんと勉強すれば、問題ないです。
AWA:
GMATで唯一、後悔している箇所です。あまり重要ではないということで、AWAはテンプレートを覚えるくらいしか対策しなかったのですが、8点満点中4点しかとったことがないです。MathやVerbalがハイスコアの一方で、AWAの点数が低いとおかしな感じがするので、少し勉強して、見栄えを整えても良かったかもしれません。
その他(GRE)
TOEFLに対するIELTSと同様に、昔はマイナーでしたが、最近、受験者が増えている試験にGREがあります。(1)MathはGMATよりは難しいが所詮は日本の中学生レベルでしかない、(2)SCがない代わりに単語(語彙)の問題があり、語彙レベルは相当高いが、語彙は暗記科目なので、時間をかけて勉強すればどうにかなる、(4)GMATと採点メカニズムが異なり、点数のばらつきが小さい、ことが特徴に上げられます。最近の受験者が増えている背景は、(2)の観点でネイティブが点を取りやすいだけで、日本人にとっての難易度は大差ない気がしますが、GMATに5回という受験回数の制限がある中、GREも5回受けることで、合計10回試験を受けられることはメリットだと思います。
米国の一部の学校中心に、GREは受け付けない学校もありますが、そうでなければGREも有効な選択肢です。
≪カウンセラー≫
エッセイの質に関わるカウンセラー選びは重要ですし、コストも嵩むので、出来るだけ多くのカウンセラーに会ってから、誰と契約するか考えました。私の場合、E4TGの講師もしていた
John Couke( http://johncouke.blogspot.jp/)
と契約しました。他の野村のアプリカントが使っているという話はきいたことがありませんが、もともとAGOSのヘッドなので実績や各校に対する知識は十分、性格も私とあったのでコミュニケーションが円滑そう、という理由で選びました。
良かった点:各校への知識が十分で、それぞれの学校にそったアドバイスをくれた。返信が速く、フラストレーションを感じたことはなかった。エッセイの添削をしっかりとやってくれる。今はオフィスが八重洲にあるので、移動にかかる時間が短かった。割と費用が安かった。
悪かった点:かなりはっきりとした物言いをするので、おそらく性格が合わない人もいる。エッセイの添削がしっかりし過ぎていて、完成形が非ネイティブの文章らしくないかもしれない。あと、ちょくちょく休みを取ります。
≪レジュメ、エッセイ≫
レジュメやエッセイはアプリケーション上、非常に重要なのですが、日本人には馴染みがないので、カウンセラーとよく相談しました。後段のインタビューの時にも使うので、出来るだけ多くのネタを考えた方が良いです。内容もそうですが、伝え方(ストーリーテリング)も重要な要素です。
エッセイに関しては、今後の面接のことも考えて、オーソドックスな質問の学校から書いた方が良いです。基本がしっかりできていれば、多少、変化球な質問をされても耐えられます。
また、スケジュールの許す限り、志望度(難易度)の高い学校は後回しにした方が良いです。書けば書くほどエッセイの質は上がっていくイメージです。
私の反省点としては、時間とのバランスですが、レジュメやエッセイはメインのカウンセラーや筆者以外の第三者にもチェックしてもらった方が良いかもしれません。言っていることがメインのカウンセラーと全く違うと混乱するリスクもありますが、より多くの主観を取り入れて、より多くの人(アドミッション)に受け入れられやすくなるメリットもあります。
≪推薦状≫
私の場合は、直属の上司とその上司である部長(私を採用してくださった方)にお願いしました。自分のことをよく知ってくれている人にお願いすると良いと思います。英語での執筆をお願いすると負担が重いので、あらかじめ日本語で内容をヒアリングしておいて、英語版のドラフトを自分で作って、それを適宜編集してもらう形にしました。学校に対して、多くのことをアピールできるように、事前に内容を伺った際に、出来るだけ多くのエピソードを話してもらい、2人の推薦状に書く内容がかぶらないように調整しました。
私の場合は、入社以来、ずっと同じ上司の下の同じ業務だったので選択肢がほぼなかったのですが、「今の上司と昔の上司」「今の上司と(関係が毀損されない前提で)ビジネスのカウンターパート」「今の上司と、仲の良いMBAホルダー」など、異なった目線から書いてくれる2人をチョイスすると良いかもしれません。
≪キャンパスビジット≫
キャンパスビジットは、高額の費用負担がかかり、多くの時間を割く必要もありますが、可能であれば行った方が良いです。何よりも学校に対する強いコミットメントを示せますし、具体的な実際の経験を交えることでエッセイの質も高まります。また、エピソードが多いと面接でも楽が出来るためです。
個人的なお勧めとして、校風を感じるためにも志望校を決める段階でビジットしてフィット感を確認した方が良いと思います。早い段階で会っておけば、その後、受験の進捗に合わせ、メールやスカイプなどで適宜、欲しい情報やアドバイスを貰えると思います。私は業務の都合で、秋になってしまいましたが、エッセイを書き始めた段階だったので、エッセイに取り入れたいトピックを効率よく集めることが出来ました。
ビジットする際には、授業を見学した方が良いと思います。教授によって違う、という意見もありますが、生徒の雰囲気を感じ取れます。在校生の運営するWebsiteを使って、在校生と面談するのはほぼ必須と言っても良いですが、出来れば2年生に会った方が良いです。秋に行く場合には特にそうなのですが、1年生はまだ数か月しか学校で過ごしておらず、ほとんどが必修の授業のため、深い内容を聞きにくいためです。可能であれば、アドミッションに直接会うこともアピールの機会として有効です。
アピールに関してですが、追加で自分をアピールすることもできるし、そもそも時間を取ってもらった御礼として、Thank youレターくらいは会ってくれた方に送付しましょう。
スケジューリングは、学校によってテストなどの繁忙期が違うので、まず在校生にコンタクトしたり、公式サイトを見たりしながら、行く週を決めました。オフィシャルには、特定の曜日/授業しか見学できない、などの制限がある場合も多いですが、現地のAdmissionや在校生と交渉すればOKになることが多かったです。金額、時間ともに相当のコストを払うので、自分の希望ははっきりと伝えた方が良いです。そして、大学のスケジュール確定後、ホテルや航空券を抑えました。私は全てExpediaで自分で手配しました。特に国内線は、フライトの遅延が多いので、スケジュールには若干の余裕を見た方が良いです。
≪面接≫
John, Steven Green(http://hstevengreen.com/), Matthew(http://www5.kcn.ne.jp/~aldridge/), Thom(http://www.thompeace.com/)と実施しました。
エッセイカウンセラーにそのまま見てもらっても良いと思いますが、実際の面接を想定して、自分のエッセイなどの文脈を全く知らない人ともインタビュー練習をした方が良いと思います。個人的には、Matthewを数回受講して面接の基本をマスターし、各校の好みや傾向に詳しいStevenやJohnで各志望校に合わせてチューニングすれば良いと思います。
それでも金銭的、時間的余裕があれば、Thomは格安で発音やメッセージの伝え方など、一般的な英語の面接に関するパートを修正してくれるので良いと思います。
ポイントとしては、エッセイ同様に、(1)内容以外に伝え方にも気を付ける、(2)オーソドックスな質問から準備して、志望度(難易度)の高い学校は順番が後に来るように調整する、点に注意すれば良いと思います。また、最後にQ&Aがありますが、ここも自分をアピールする機会と捉えましょう。
因みに、スコアなどの面で自分が十分に基準をクリアしていると思われるのに、なぜか面接に呼ばれないときには直接アドミッションにメールで面接をリクエストしてみるのは有効です。私はこの方法で2校から追加で面接の案内を貰い、1校には実際に合格しました。
面接の過去問や、他の受験者がどのようなステータス(例えば面接の案内は来ているのかなど)は、Clear Admit(https://www.clearadmit.com/)で調べました。
≪辞退≫
結果として複数校に合格した場合、どこかを辞退するということになると思います。その際には、しっかりと仁義を切り、学校にも丁寧なメールを送付するようにしましょう。不義理な態度で辞退した候補生がいた場合、「以前の留学候補生みたいに、今度の奴もどうせ、、、」のように今後の候補生が理不尽なネガティブバイアスをかけて扱われる可能性があるためです。
また、行かないことが決まった場合には、Waitlistで繰り上げを待っている受験生がいることも考えて、早めに辞退するようにしましょう。